ブリッジという選択肢
1本ないしは歯が無い時、取り外し式の入歯にはせずに、ブリッジで修復するという方法があります。これは一見すると便利なように思われます。しかし、患者さんとしては独特の注意が必要となるのです。まずはブリッジについてもう少しご説明しましょう。
ブリッジは、固定義歯の代表格です。虫歯で歯を失ったり、歯槽膿漏で抜いたりした後、失った歯の代用をつくるという手法になります。
喪失歯の両隣の歯を「橋脚」にして、これに歯の形をした「橋げた」を渡すのです。奥歯の4本までなら健保適用となります。
しかしながら、使用する素材によっては自費となる為、費用は高くなってきてしまいます。例えばある歯科医なら、ポーセレン冠が1本8万円として、4本ブリッジになると合計32万円という事になります。
高額ながらそれだけの価値があると判断する人も多いからこそ、ここまで普及しているのではないでしょうか。
ブリッジのしくみ
ブリッジとは、人工歯(ポンティック)と両隣の歯に被せるクラウンが一体となったものです。橋を架けるように人工歯を装着する事から「ブリッジ」と呼ばれているのです。両隣の歯が支柱となる事で人工歯が固定され、違和感なくしっかりと噛む事が出来るのです。こうした構造からブリッジは、支えとなる両隣の歯(支台歯)が無ければできません。
ブリッジは固定式なので、入れ歯のように取り外しの必要もなく、わずらわしさも無いでしょう。
ですが全てのケースに対応できるわけではありません。
例えば一番奥に生えている歯が失われたというケース。この場合、支える歯は片側にしかありませんよね。1本の支台歯で人工歯を支えるのは負担が大きすぎます。その為、この場合ブリッジは向いていないと言えます。
片側だけで支える「延長ブリッジ」という方法もあるのですが、支台歯への負担が大きく長持ちもしにくい為、専門家の間では推奨されていません。また、支台歯が歯周病ですでにグラグラしている場合もブリッジには不向きでしょう。
隣同士の2本の歯を失っている場合は、支台歯は3~4本必要になります。両隣の2本の歯だけでは、支台歯にかかる負担が大きくなる為です。このため、3本つづきで歯を失っていて、より多くの支台歯が必要となる場合にはブリッジよりもインプラントや入れ歯の方が適していると言えるでしょう。
ブリッジの最大の難点は、両隣の歯にクラウンを被せる為に、歯を大きく削らなければならないという事でしょう。これにより表面のエナメル質はほとんど失われてしまいます。
支柱となる歯は削られいる上に、噛む際には通常よりも大きな負担がかかる為、歯周病になりやすいという難点があるのです。
ブリッジを長持ちさせるために
ここで誤解してしまいやすいのは、「高価なのだから永久的に持つだろう」と思い込んでしまう事でしょう。
しかし、何十万とかけても、自分の歯と比較すると人工物なのでやはり限界があるのです。自分の歯でさえもダメにしてしまっているのだから、心を入れ替えて朝晩しっかり歯と歯茎の境目を重点的に磨かないと、早くて1~2年でグラつき始め、ダメになってしまうという事もしばしばあります。
とはいえ、誤解してしまうのも無理はありません。冠をかぶせてある為に、防御万全のように思ってしまいます。ですので、ブリッジの構造を理解しておく事も大切になってきます。ブリッジは両端の歯を健康な状態であっても削りとり、冠をかぶせる為の土台をつくらなければなりません。
橋脚の歯が大きな虫歯になっていたりすると、歯の頭が使えなくなっている為、根に支柱を立てるように支台をつくり、これに合うように冠を被せます。こうする事で抜けた歯を補う事になるのですが、支台部分は天然の歯根を用います。しかし、支台部分の歯根と歯茎の隙間にばい菌が入り込むと、この歯根が溶け始めます。
するとブリッジ全体tが動揺しはじめ、抜けてしまう事になってしますのです。この事情はブリッジに限った事ではありません。単なる冠でも、高級義歯やアタッチメントを取り付けた歯であっても同じ事が言えます。歯茎との境目を丹念に磨く必要があります。膿漏だけでなく、磨かないと歯の根元から虫歯にもなりやすいです。
これもばい菌の侵入の為です。いずれにせよ、歯をしっかり磨く事は非常に大切です。